KAWASAKI W1S 長期放置車の修理 その2

このままでも走ることはできそうですが、念のためポイントギャップ、点火時期を調整しておきます。

ポイントギャップは0.4~0.5mm(SMより)ほぼあっています。
続いて点火時期調整ですが、Wはタイミングテスターが使えません。
左側クランクケース部分にあるタイミングチェックホールから行います。
タイミングチェックホールのボルトを外すと、クランクウェブ側面に刻印された赤いマークが見える位置があります。これが上死点前5°のマークです。
余談ですが、K2やWはアイドリング時(750~900rpm)の点火時期が上死点前5度、約1100rpmからはガバナーが働き進角され約2900rpmで全開となり上死点前31度になるように設計されています。


この赤い刻印部分がホール中央にくる位置でポイントが開くように調整します。乳化したオイル...


豆電球を使う方法が一般的ですが、僕はいつも写真のような検電テスターを使います。原理は一緒ですね。

キャブもバッチリ、バルブクリアランスもOK、点火時期も調整し、再度エンジンを始動しようと思いキックしてみますが全然アイドリングが続きません。まさか点火時期調整をミスったか?と思いもう一度見直すも問題なし。エアスクリューをちょこちょこ調整するも変化なし。もしやキャブが詰まったと思い外そうと燃料ホースを外してみると...なんとホースからは水が出てきます(驚)そういえば、燃料が残り少ないのでコックをRES位置で使いました。となると、放置中にガソリンタンク内に水が溜まっており、RES位置にしたことで底にたまっていた水が入ったことが考えられます。(水1に対しガソリンの比重は約0.75)
できるだけ水は抜き、あとは水抜き剤などで混ぜて走りながら燃やしてもらうしかないです。キャブレターのフロートチャンバー部分にも水が溜まっているので左右ともばらして再度組付けました。

気を取り直して再度キック!...スババババン!と力強いアイドリングで問題なしです。良かった良かった。


錆びていたシリンダーも可能な限り錆を落とし耐熱ブラックを塗りました。結構綺麗になったでしょう?

あとは走りながら膿を出していきましょう。


ご満悦の様子、明らかにトルクが上がって走っていて楽しいと言ってました。良かった良かった、大事にしてねぇ

KAWASAKI W1S 長期放置車の修理

いちばん下の弟の友人、つかちゃんからW1Sの修理依頼がきました。
もともと「セミレストア車」を購入したそうなんですが、あまり調子が良くなく、乗らず長期放置でエンジンがかからなくなってしまったようです。
キャブ掃除ぐらいで復活すると思っていましたが...

弟とつかちゃん二人で軽トラに乗せて持ってきました。
なんとリアタイヤがパンクしてます(涙)

翌日現状確認


汚い...野ざらしだったのか、鉄シリンダー部分が錆びてしまっています。
バッテリーが上がっていたので充電しましたが、復活せず。新しい物を購入しました。
とりあえずキャブレターから掃除します。


例のごとくフューエルバンジョー部分からガソリン漏れがあります。
つかちゃん曰く「すごい勢いで漏れてくる」だそうです...
Wはキャブ直下にポイントがありますから、ガソリン漏れはかなり怖いです。しっかり直します。それから、シリンダーヘッドからキャブを外す際に全然抜けなくて苦労しました、絶対歪んでますね。


ぐえーーー


ぐえーーー

走っていて信号待ちなどでふいにエンストすることがあるとつかちゃんが言っていましたが、どうやらここの二次エアが怪しい。T140の時も苦労しました。
オイルストーン、定盤で可能な限り研磨します。あまりやりすぎるのもよくないので吸わない程度でやめました。


Wのウィークポイントであるキャブレターのフューエルバンジョーからのガソリン漏れですが、漏れを止めるためバンジョーボルトを締めすぎ、柔らかい亜鉛合金のキャブ側の雌ネジをなめてしまう例がよくあるようです。幸いこのキャブレターはどちらも大丈夫でした。
対策品のワッシャーも売っていますが、普通に耐ガソリン性のあるフッ素ゴムのシールワッシャーが使えるのでは?と思いミスミで注文してみました。
フッ素ゴムなので1枚404円しますが、送料無料なのでお買得だと思います。


バッチリ!

清掃の済んだ左右のキャブレターを取り付けコックON、全く漏れません!問題なく使用できます。
それではいざキック!......キックが軽い!?
エンジンは始動しましたが、キックが650ccツインにしては軽いです。ちなみにクラッチはガッツリ張り付いてました(涙)よってバルブクリアランスが怪しいですね。

タペットカバーはオイル漏れが嫌なのか、液体ガスケットベットリで密封されていました。ガスケットリムーバーで液ガスをはがして開けてみます。ここは調整で開けたりしますから液体ガスケットは塗らないほうがいいと思います。
さてクリアランスを見てみます...むむむ!クリアランスがありません、むしろマイナスでした。音が嫌で締めていたのでしょうか?バルブがピストンと当たらなくて良かったです。

W1Sのバルブクリアランス調整(SMより)
IN側0.025~0.055限度0.1
EX側0.030~0.063限度0.1

だそうですが0.1ぐらいがいいとのこと。タペットのネジのピッチは1.0mmなのでバルブに当たった位置から45°戻し0.125mm、それより気持ち角度狭めて調整しました。

調整後はかなりキックが重くなりました。始動させるとかなり野太い排気音に代わっています。いままでは圧縮が抜けてパワーも全然でなかったことでしょう...


リアタイヤのパンクしたチューブ交換とクラッチの張り付きを直します。
大きいバイクのタイヤ交換ではタイラップを使うと組むのに便利です。
ネットで検索すれば出てきますので検索してみてください。
タイヤにチューブを入れエアバルブ部分だけを出してタイラップで左右?のビートの端同士をくっつく位置で固定します。こうすることでチューブはタイヤ内に収まり組む際にチューブに穴をあける心配がなく、タイヤレバーで楽にリムにはめることができます。

クラッチは前述のとおりガッツリ張り付いています。
プライマリーカバーを開けるのには左側ステップを外す必要があります。
カバーを開け、クラッチ部分をハウジングから取り外します。張り付いて一体になってました。一枚ずつはがしていきます。はがすとスチールプレート部分にフリクションプレートの残りかすが多数付着していたので綺麗にスチールウールで磨き落としました。
本当はフリクションプレートを交換したいですが、この時点でどう考えても予算オーバーなのでこのまま組みます。


Wはクラッチ止メワイヤーなるものがあり、とても面倒です。
バックプレート、フリクションプレートを組んだら1周ワイヤリング、スチールプレート、フリクションプレート(2枚目)を組んだら再度1周ワイヤリングします。
また、これはメグロでも常識ですが、クラッチスプリングを締め付ける際に、全部締めこむのではなく、1回転~2回転戻した位置にします。クラッチスプリングを留めるナットにはワイヤリング用の穴が開いていますので、ちょうどいい位置でワイヤリングにて固定します。今回は1回転半戻しで固定しました。

外したカバーを戻し左側ステップを取り付けてプライマリーオイルを入れ、ミッション側のクラッチアジャスターを調整して終わりです。
キック時に滑らず、且つクラッチが切れやすくなりました!

つづく~

Noron ES2 シート交換



無事に奇跡のマニホールドに交換できて絶好調のES2ですが、どうにもシートが気に入りません。何かの流用シートなのですが、純正シートにしたい!
リプロ純正のシートはRGM nortonにて取り扱っているのですが、ずっと品切れ状態。
そこでフレームが似ているシングルダウンチューブフレームのDominator Model7用のシートを購入しました...しかし届いたものが全くあいません。(これフェザーベッドスリムライン用じゃない?)
それからずっと放置していたのですが、元々ついている流用シートのステーを使えば取り付けられるのでは?と思い、加工してみました。


購入したシートは表皮やスポンジがすべて接着剤でのみくっついているという雑な作りなので、それらをはがし、シートベースに穴をあけ、シート側からM6の皿頭小ねじを差し込み、ステー側でナットで固定しました。


あとははがしたスポンジ、表皮をG17で張り付けるだけです。G17の大容量の缶が売っていたのでついでに購入しました。一生かかっても使いきれない量です。


じゃーん!かっこよくなりました!純正っぽい赤パイピングのシートです。乗るのがさらに楽しくなりますね!!

新着

DT250 シフト不具合、修理

  実家においてある弟の1975年のDT250(498?)は昨年オークションにて入手し軽整備にて始動、走行することができましたが、 N(ニュートラル)に入りづらいという問題 がありました。具体的にはシフトペダルがNへシフト時かなり固く、なかなかNに入らない、力をかなり入れると通り...

過去の記事