KAWASAKI W1S 長期放置車の修理

いちばん下の弟の友人、つかちゃんからW1Sの修理依頼がきました。
もともと「セミレストア車」を購入したそうなんですが、あまり調子が良くなく、乗らず長期放置でエンジンがかからなくなってしまったようです。
キャブ掃除ぐらいで復活すると思っていましたが...

弟とつかちゃん二人で軽トラに乗せて持ってきました。
なんとリアタイヤがパンクしてます(涙)

翌日現状確認


汚い...野ざらしだったのか、鉄シリンダー部分が錆びてしまっています。
バッテリーが上がっていたので充電しましたが、復活せず。新しい物を購入しました。
とりあえずキャブレターから掃除します。


例のごとくフューエルバンジョー部分からガソリン漏れがあります。
つかちゃん曰く「すごい勢いで漏れてくる」だそうです...
Wはキャブ直下にポイントがありますから、ガソリン漏れはかなり怖いです。しっかり直します。それから、シリンダーヘッドからキャブを外す際に全然抜けなくて苦労しました、絶対歪んでますね。


ぐえーーー


ぐえーーー

走っていて信号待ちなどでふいにエンストすることがあるとつかちゃんが言っていましたが、どうやらここの二次エアが怪しい。T140の時も苦労しました。
オイルストーン、定盤で可能な限り研磨します。あまりやりすぎるのもよくないので吸わない程度でやめました。


Wのウィークポイントであるキャブレターのフューエルバンジョーからのガソリン漏れですが、漏れを止めるためバンジョーボルトを締めすぎ、柔らかい亜鉛合金のキャブ側の雌ネジをなめてしまう例がよくあるようです。幸いこのキャブレターはどちらも大丈夫でした。
対策品のワッシャーも売っていますが、普通に耐ガソリン性のあるフッ素ゴムのシールワッシャーが使えるのでは?と思いミスミで注文してみました。
フッ素ゴムなので1枚404円しますが、送料無料なのでお買得だと思います。


バッチリ!

清掃の済んだ左右のキャブレターを取り付けコックON、全く漏れません!問題なく使用できます。
それではいざキック!......キックが軽い!?
エンジンは始動しましたが、キックが650ccツインにしては軽いです。ちなみにクラッチはガッツリ張り付いてました(涙)よってバルブクリアランスが怪しいですね。

タペットカバーはオイル漏れが嫌なのか、液体ガスケットベットリで密封されていました。ガスケットリムーバーで液ガスをはがして開けてみます。ここは調整で開けたりしますから液体ガスケットは塗らないほうがいいと思います。
さてクリアランスを見てみます...むむむ!クリアランスがありません、むしろマイナスでした。音が嫌で締めていたのでしょうか?バルブがピストンと当たらなくて良かったです。

W1Sのバルブクリアランス調整(SMより)
IN側0.025~0.055限度0.1
EX側0.030~0.063限度0.1

だそうですが0.1ぐらいがいいとのこと。タペットのネジのピッチは1.0mmなのでバルブに当たった位置から45°戻し0.125mm、それより気持ち角度狭めて調整しました。

調整後はかなりキックが重くなりました。始動させるとかなり野太い排気音に代わっています。いままでは圧縮が抜けてパワーも全然でなかったことでしょう...


リアタイヤのパンクしたチューブ交換とクラッチの張り付きを直します。
大きいバイクのタイヤ交換ではタイラップを使うと組むのに便利です。
ネットで検索すれば出てきますので検索してみてください。
タイヤにチューブを入れエアバルブ部分だけを出してタイラップで左右?のビートの端同士をくっつく位置で固定します。こうすることでチューブはタイヤ内に収まり組む際にチューブに穴をあける心配がなく、タイヤレバーで楽にリムにはめることができます。

クラッチは前述のとおりガッツリ張り付いています。
プライマリーカバーを開けるのには左側ステップを外す必要があります。
カバーを開け、クラッチ部分をハウジングから取り外します。張り付いて一体になってました。一枚ずつはがしていきます。はがすとスチールプレート部分にフリクションプレートの残りかすが多数付着していたので綺麗にスチールウールで磨き落としました。
本当はフリクションプレートを交換したいですが、この時点でどう考えても予算オーバーなのでこのまま組みます。


Wはクラッチ止メワイヤーなるものがあり、とても面倒です。
バックプレート、フリクションプレートを組んだら1周ワイヤリング、スチールプレート、フリクションプレート(2枚目)を組んだら再度1周ワイヤリングします。
また、これはメグロでも常識ですが、クラッチスプリングを締め付ける際に、全部締めこむのではなく、1回転~2回転戻した位置にします。クラッチスプリングを留めるナットにはワイヤリング用の穴が開いていますので、ちょうどいい位置でワイヤリングにて固定します。今回は1回転半戻しで固定しました。

外したカバーを戻し左側ステップを取り付けてプライマリーオイルを入れ、ミッション側のクラッチアジャスターを調整して終わりです。
キック時に滑らず、且つクラッチが切れやすくなりました!

つづく~

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