20代最後の夏「無駄を楽しむ旅」~その4~

 

This is Hokkaido

北海道2日目、翌朝,6時に設定したアラームで目が覚めた。今日は曇りのち晴れだそうだが、依然として厚い雲に覆われている。そして寒い、昨日よりも寒い。気温は14度を指している。まだ8月というのに恐るべし北海道。

富良野と決めてはいたものの、具体的にどの辺りが北海道感のでるスポットなのかはわからないので、前夜にいろいろといいスポットを調べてみた。上富良野の「パノラマロード江花」、美瑛の「ジェットコースターの路」、同美瑛の「丘めぐり」、この辺りを走ってみようということにした。

 ペンションを7時にチェックアウトし、みどりちゃんを目覚めさせる、夜も雨が降ったのか結露でシートなどがびしょ濡れである、簡単に水気をとってあげて出発する。パノラマロード江花まではさほど距離はない、暖気がてらのんびり回転を上げずに走った。新空知橋を渡りすぐの交差点を左折し富良野市街から逸れ北上。段々と民家が少なくなり、すぐに広大な畑が現れた、これぞ北海道的風景と気分が高まる。そして、はじめの目的地のパノラマロード江花に到着した。まだ8時前であった為、観光客の姿は皆無、時折地元の車が通るぐらいで景色を独り占めすることができた。広大な畑の真ん中を下り坂の路がはるか先まで続いており、その先に富良野の市街地が見える。晴れていれば最高なのだろうが、曇でも十分満足できるロケーションであった。


パノラマロード江花


 ひとしきり写真撮影をおこなった後、道道759号経由で美瑛へ向かう。地図上ではなんてことはない距離のように見えたのだが、地味に距離があった。ジェットコースターの路は、畑の中を遥か先までアップダウンを繰り返す一本道が続いているロケーションであり、個人的にはこちらのほうが感動的だった。夢中でシャッターを切る、やはり観光客の姿は無く、思う存分撮影を楽しんだ。


ジェットコースターの路

まだ時間があったので、今度は美瑛の「丘めぐり」に向かった。CMなどで使われた風光明媚な丘がたくさん点在しており、有名な「マイルドセブンの丘」「ケンとメリーの木」などをめぐることができた。朝に比べだいぶ気温が上がってきた。時刻は10時、そろそろ苫小牧港に向けて走りだそう。



富良野からきた道を戻るのはなんだかもったいない、帰りは別の道で帰ることにした。富良野から道道135号を経由して国道452号を走る。ツーリングマップルには「GSなしガソリン残量注意」の怖い文字、桂沢湖から道道116号で三笠に出た。三笠から道道30号、45号を通り恵庭市へ、道道45号は民家こそあるもののひたすら真っすぐの道で、車の流れもそこそこあるのでとても眠かった。さすがに飽きたので、途中のセイコーマートで休憩。駐車場で現行のトライアンフスクランブラーに乗っているおじさんに声をかけられた。なかなか国産旧車に比べ、英車に乗っていると声をかけられることが少ないのでなんだか嬉しい。やっと苫小牧に至る国道36号線に出た頃にはお昼を過ぎていた。お土産を買っていなったので沼ノ端近くの道の駅ウトナイ湖に寄る、少し買いすぎたか積載に手間取った。帰りのフェリーは太平洋フェリーで、出港時刻は19時だ。乗船手続きのために2時間前までには苫小牧港に付けばいいのであるが、現在時刻13時、まだ4時間ある。そこで僕は、国道235号線を日高方面に走らせることにした。今回の旅では海沿いを走ることがなかったので、少し海が見たくなったのだ。しかし、厚真町を過ぎても海はチラチラと見えるだけで、期待していた海沿いを走る道とは程遠い感じである。地図をよく見ると日高町辺りまで行かないと、本当に海沿いを走ることはできないようだ。仕方なくむかわ町の道の駅むかわ四季の館で折り返すことにした。日高町、襟裳岬方面はまたの機会に訪問することにしよう。

だいぶ時間を潰すことができ苫小牧港には16時ぐらいに到着した。すでに今日の宿である「きたかみ号」は入港してしている。仙台行と書かれたレーンに一番乗りでみどりちゃんを停める。隣の行きに乗った商船三井フェリーの大洗行きレーンにはたくさんの旅を終えたオートバイたちが並んでいた。乗船手続きを終え、小腹がすいたので待合所の立ち食いそば屋でうどんを食べる。そういえば朝から何も食べていなかった、そんなこともありとても美味しい。食後、港の歴史などを展示してあるミュージアムをふらふらしたり、友人にライン通話で自慢したりしていたら段々と陽が傾いてきた。そろそろ乗船開始時間だ。仙台行の駐車レーンに戻ると5台ぐらいのオートバイが止まっている。係員が乗船の合図を出す、北海道ともお別れだ。


駐車をすませ旅客区画へ、入り口がわかりづらく少し迷ってしまった。旅客区画は2階層と商船三井のさんふらわあに比べ少し狭いように感じる。行きは開放型の寝台だったが、かなり音に気を使ったりして疲れてしまったので、奮発して今日は個室を予約した。2畳ほどのスペースだが、テレビやテーブルなどが置かれ、何より天井が高く立って背伸びができるのが嬉しい。部屋に荷物をおき、船内散策。内装はさんふらわあよりも豪華で、レストランはビュッフェ方式、軽食スペースもあり、お風呂は24時間入浴可能らしい。先ほどうどんを食べたばかりであまりお腹は減っていないが、空いているうちに夕ごはんを食べてしまおうとレストランへ。値段は2100円と少々高価だが、せっかくなのでとチケットを購入した。夕食を食べ始めてまもなく、とてもきれいな夕焼けが西の空に現れた。これほど美しい夕焼けは滅多にないようで、レストランのシェフも窓の方へゆき空を眺めている。思えば、当初の予定ではもう実家に付いているはずである。それが、今は1000キロ離れた北の大地だ。往復のフェリー代だけで6万円ちかくもした、ほとんどどんよりな天気であったし、雨にもふられとても寒かった…それでも、来てよかった北海道。20代最後、僕にとってこの旅が単なる「無駄」の一言だけでは済ますことのできない特別なものになったと、美しい夕焼けを見ながら振り返る。

「ジャーン、ジャーン、ジャーン」

出航を告げるドラが鳴る、「港 出船の ドラの音愉し」と岡晴夫のヒット曲を思い出す。きたかみ号は静かに苫小牧港を離れ、仙台港への航海を開始した。

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